皆さんは「肩関節周囲炎」とリハビリオーダーが出た時に自信を持って理学療法を行う事ができますか?
ただ痛みのある部位や硬い所を揉んだり、ほぐしたり、血行をよくするために温めたり電気をかけたりしても、なかなか思うように改善しないですよね?
そこで今回,筋が原因となる拘縮の中でも特に『ローテーターカフ』について深掘りをしたいと思います。
これを網羅することで、医師から「肩関節周囲炎」のリハオーダーが来ても、自信をもって対応することが出来るはずですので、項目ごとに説明していきます。
ローテーターカフについて深堀り解説!
筋が原因となる拘縮は4つの筋を網羅せよ!
肩関節拘縮において、ローテーターカフの機能が重要だと言うことは学生のうちに学びます。しかし、ローテーターカフが機能不全によって疼痛や拘縮を作り出すことは理解できても、それぞれの評価方法があまりよく分からないと言う方は意外と多いのです。そのため今回は、肩関節構成筋の中でも特に重要視されているローテーターカフ4つの筋に対する圧痛の評価方法について説明していきます。
最も大切なことは、「1つの筋であっても線維ごとに分けて圧痛を評価する」ということです。この視点をもって是非最後まで読み進めてください。
①棘上筋
イラストの様に棘上筋の圧痛は棘上窩の内側1/4で認めることが多いです。そして、棘上筋は前部線維、後部線維に分けて評価を行うことが重要です。
①-1 棘上筋前部線維
①-2棘上筋後部線維
棘上窩から肩甲棘の上縁まで圧痛を確認していきます。
肩関節を伸展・内転・内旋方向に誘導すると伸張位となり圧痛部位が確認しやすくなります。
②棘下筋
棘下筋は上部線維、下部線維に分かれます。
②-1棘下筋上部線維
棘下筋上部線維の圧痛は、肩甲棘下縁付近で認めることが多いです。
まず、肩甲棘の下縁を触知し、肩甲上腕関節まで触診していきます。
肩関節伸展位で内旋方向に誘導すると上部線維が伸張位となり圧痛部位が確認しやすくなります。
②-2棘下筋下部線維
下部線維の圧痛は、肩甲骨外側縁で認めることが多いです。
小円筋の起始部の近位部を触知し、肩甲上腕関節まで触診していきます。
肩関節外転位で内旋方向に誘導すると下部線維が伸張位となり圧痛部位が確認しやすくなります。
③小円筋
小円筋は全筋腹に沿って圧痛を認めることが多いです。
肩甲骨外側縁の近位部を触知し、上腕骨大結節まで触診していきます。
肩関節屈曲位で内旋方向に誘導すると小円筋が伸張位となり圧痛部位が確認しやすくなります。
④肩甲下筋
棘下筋は上部線維、下部線維に分かれます。
②-1棘下筋上部線維
肩甲下筋は上部線維、下部線維に分かれます。
肩甲下筋の圧痛は、上部、下部線維ともに肩甲下窩の外側縁(大胸筋の深層部)付を確認します。
④-1肩甲下筋上部線維
肩関節を軽度外転位とし、肩甲骨外側縁を触知し、最上部線維を触診します。
肩関節内転・外旋方向に誘導すると上部線維が伸張位となり圧痛部位が確認しやすくなります。
④-2肩甲下筋下部線維
肩甲骨外側縁付近(大円筋の内側部)を触診します。
肩関節外転位で外旋方向に誘導すると下部線維が伸張位となり圧痛部位が確認しやすくなります。
実技映像
1st、2nd、3rdでの内・外旋の可動域評価を行いながら、上記筋群に圧痛がある場合は、各組織に対してリラクセーションやストレッチングを行い、再度、触診により筋緊張や圧痛の確認と1st、2nd、3rd、での可動域評価を行うことが重要です。
筋が原因となる拘縮に対する運動療法アプローチには、
- 攣縮した筋の緊張を軽減するリラクセーション
- 短縮した筋の伸張性を獲得するストレッチング
の2つがあります。
この2つの技術の高さが、重要であると書籍『肩関節拘縮の評価と運動療法』の著者、赤羽根良和先生は述べています。
今回は特別に赤羽根先生による棘上筋のリラクセーションとストレッチングの実技講演映像を用意したのでぜひご覧ください。
①棘上筋
イラストの様に棘上筋の圧痛は棘上窩の内側1/4で認めることが多いです。そして、棘上筋は前部線維、後部線維に分けて評価を行うことが重要です。
①-1 棘上筋前部線維
①-2棘上筋後部線維
棘上窩から肩甲棘の上縁まで圧痛を確認していきます。
肩関節を伸展・内転・内旋方向に誘導すると伸張位となり圧痛部位が確認しやすくなります。
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