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そう語るのは変形性膝関節症の理学療法において、本邦で最も著名な先生の一人である、山田英司先生です。

山田先生の遺作となった書籍『変形性膝関節症の保存療法(2022年2月14日に発売)』ではこの膝関節外反モーメントについて徹底的に解説されています。

私たちセラピストが対応する「変形性膝関節症の保存療法」において、最も要求されるのは「痛みの改善」だと思います。そのためには、痛みを発している組織を評価し、その組織に対してアプローチする必要がありますが、それだけで痛みが改善するほど、臨床は簡単ではありません。

多くのセラピストを悩ませているのが「その時は良いけど、次回来た時には痛みが戻っている」ということではないでしょうか。理由は簡単で、痛みを発している組織にストレスをかけ続けている動作を変えられていないからです。

もちろん、変形性関節症は退行性疾患ですので、痛みを消失させることが難しい症例もいます。ですが、痛みを発している組織と、痛みを誘発している動作の両方にアプローチを行わなければ、臨床で良好な結果を出すことは困難です。

そこで今回、変形性膝関節症の動作を考えるうえで、最も重要な「膝関節外反モーメント(knee abduction moment:以下、KAM)」について紹介いたします。そして、さらに深掘りをしたい方は、書籍『変形性膝関節症の保存療法』を手に取ってみてください。あまりにも膨大な研究データを基にKAMについて解説してくれていますので、ここでは正直紹介しきれません。それほど勉強になり、臨床に活かせることをお約束いたします。

なぜKAMが最も重要なのかと言うと、膝の不安定性を増大させ、内反変形が進行する一番の要因になるからです。このKAMについて理解するためには、健常者の膝と比較することが大切だと山田先生は述べています。

まず、結論から述べますと、KAMを最小化させるメカニズムは2つあります。

外反モーメントについて深堀り解説!

1.初期接地から荷重応答期に起こる下腿の内旋

1つ目は、初期接地から荷重応答期に起こる、距骨下関節回外から回内への運動です。これにより下腿が内旋および内側傾斜することで、KAMを最小化にしています。

この詳細については、この記事の最後にある『変形性膝関節症の保存療法』の6章に書いていますが、大切な点だけ述べると、下腿の内旋が非常に重要と言えます。

歩行を観察してみると、変形性膝関節症患者の多くは下腿外旋位の状態で歩いています。このため、臨床では膝関節屈曲伸展の可動域だけでなく、内旋可動域の評価も必要と言えます。

さらに言うと、膝関節は構造学的に内旋位でないと膝屈曲位では安定しないことを知っておいてください。

この視点で痛みを発している組織にストレスをかけ続けている歩行の動作を診てみると、新たな発見があるかもしれません。

2.単脚支持期における骨盤水平保持での股関節内転運動

KAMを最小化させる2つ目のメカニズムは、荷重応答期から単脚支持期における骨盤水平保持での股関節内転運動です。これにより、膝と重心の距離が離れすぎないように働き、KAMが最小化します。

この詳細についても、この記事の最後にある『変形性膝関節症の保存療法』の6章に書いていますが、大切な点だけ述べると、体幹の質量中心が膝関節の近い位置に乗るための、股関節内転が非常に重要と言えます。

患者の歩行を観察してもらうと理解できると思いますが、変形が進行するにつれて股関節内転方向の動きがコントロール出来ず、場合によっては体幹を外側に変位させ、デュシェンヌタイプになって歩いています。

このため、臨床では股関節周辺の機能評価も重要と言えます。この視点で痛みを発している組織にストレスをかけ続けている歩行の動作を診てみると、やはり新たな発見があるかもしれません。

参考図書

変形性膝関節症の保存療法

著者:山田 英司

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