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腰部脊柱管狭窄症における術後の理学療法の目的は何だと思いますか?

この問いに対して様々な答えがあると思いますが、私は、疼痛の軽減・消失と体幹機能再構築を基盤とした起居動作や移動能力の再獲得の2つだと考えております。

腰部脊柱管狭窄症によって出現する間欠性跛行を伴う症例の多くは、体幹直立位を保つことで殿部痛や下肢痛が発生しやすいため、疼痛からの逃避行動として体幹前屈位をとることが習慣化しやすい特徴が挙げられます。
また、加齢による姿勢変化の影響も受け、体幹の抗重力伸展機能はより低下していきます。

こうした疼痛回避による姿勢変化と加齢による姿勢変化の影響で、体幹の機能が低下するわけですが、術後においては疼痛の軽減・消失が得られやすいため、術後理学療法の役割は体幹機能再構築を基盤とした長距離歩行の獲得やQOLを向上させることであると言えます。

では、具体的にどのようにしていけば良いのでしょうか。今回は『臨床実習性および若手PTのための理学療法実践ナビ運動器疾患編』を素に、実例も併せて紹介して参ります。

脊柱管狭窄症術後の姿勢と動作を深堀り

術後の姿勢評価と動作分析は?

本症における立位姿勢の評価は症状からの逃避、加齢による姿勢の退行性変化の両面から捉えることが必要です。脊柱管狭窄症は主に直立姿勢をとることで症状が発生するため、逃避行動として脊柱後弯や骨盤後傾姿勢をとる傾向があります。具体的に、女性では骨盤の後傾化、男性では胸椎後弯化を伴うことが多いです。

大切なのは、術後には疾患由来の逃避行動は比較的早期に解消しますが、筋機能低下に起因する脊柱後弯・骨盤後傾姿勢は残存するということです。

また、動作・歩行で言えば、術前にあった神経性間欠性跛行は手術によって軽減すると考えられます。しかし、脊柱管狭窄症に罹患期間が長く、かつ歩行機能が低下している状態が長期化していた患者では、創部周囲の痛みが軽減しても骨盤後傾・脊柱後弯姿勢が持続することが少なくありません。(図2)。

ここに、我々セラピストが介入できる余地がたくさんあるのではないでしょうか。

そこで、『臨床実習性および若手PTのための理学療法実践ナビ運動器疾患編』から抜粋してアプローチの一部を紹介していきます。

体幹機能に対するアプローチを紹介!

①腰椎軸上伸展−骨盤前傾の協調性獲得の準備

脊柱管狭窄症症例の立位姿勢では、上位腰椎平坦化、骨盤後傾下、頭部前方変位が特徴的です。このようなアライメントを改善することを目的に、下記の写真のような腰椎と骨盤の協調exを行います。
(図3)。

②立位で行う上半身−下半身前方並進運動

身体機能面の目標の一つに立位における体幹上部位置の骨盤位置の修正があります。
座位での体幹抗重力伸展機能が上手く行えるようになったら、立位での伸展機能向上ex. を実施していきます。立位で骨盤を前傾位とし、胸腰椎移行部を中心とした伸展ex. を行います。下記の図のように、ヒールレイズを行いながら両上肢を挙上することで、骨盤に対する体幹上部位置を適切に保ちながら上半身質量中心と下半身質量中心を同時に前方へ移動させることができます(図4)。

 

今回の内容は書籍「臨床実習生および若手PTのための理学療法実践ナビ 運動器疾患編」を参考に文章を作成しております。さらに深く病態を理解し、より具体的な理学療法を学びたい方、臨床実習生を指導する立場でより的確に指導をしたい方、臨床実習で多くの経験を積みたい方は是非、本書を手に取ってください。TKAを含めた運動器疾患のポイントはもちろん、実習生にとってはレポートの作成のポイント、指導者にとっては指導のポイントも解説され、大変分かりやすくなっております。

 

あなたの臨床がたくさんの方の笑顔につながりますように。

参考図書

臨床実習生および若手PTのための理学療法実践ナビ 運動器疾患編

編集:園部 俊晴

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